実践セミナー講演概要(その1):どうする?「わが社の脱炭素経営と見える化」
令和5年10月4日(水)に愛知県みよし市と共催し、「地域プラットホーム構築事業」及び「省エネお助け隊」の紹介を兼ね、中小企業等の脱炭素経営の必要性を訴求し、省エネの実践方法(運用改善、設備導入、補助金活用に関する省エネ手法)について「中小企業向け省エネ実践セミナー」を実施しました。
セミナーの主なプログラムは、初めに「地域プラットホーム構築事業」及び「省エネお助け隊」の紹介、そのあと実践省エネ講演として、①どうする?「わが社の脱炭素経営と見える化」、②「運用改善、そして設備更新」による省エネ手法、③「省エネ機器導入」と補助金の活用、の3題の話題提供を行いました。そこで、その講演概要を3回に分け紹介します。
まず、講演概要(その1)として、「どうする?わが社の脱炭素経営と見える化」について紹介します。講師の原理史氏(中部大学中部高等学術研究所)によれば、サプライチェーン全体で脱炭素に取組むことが要請され、取組むことで社会に、世界に貢献できる。それにはエネルギーの「見える化」が不可欠で、事業所全体で省エネ文化を育むことが大切とのことです。
●中小企業の省エネの必要性
・エネルギー価格が上昇しており、エネルギーを抑えることは経営上の重要な要件となる。また、持続可能な開発を達成するためには、環境への配慮が不可欠である。
・人間の影響で地球が温暖化していることに「疑う余地がない」とされ、パリ協定を受け、企業にはSBT(Science Based Targets)の設定が求められている。
・脱炭素とは、エネルギーを使わないこととCO2を出さないエネルギーを選ぶことであり、省エネは温暖化対策として社会に、世界に、地球に貢献する。
●エネルギーの効率化・省エネを運用改善から
・省エネ活動は、「見える化」と「省エネ行動(運用改善と投資)」である。
・「見える化」では、最大使用量と、年ごと、月ごと、日ごと、時間ごと、機械ごと等の使用量の把握が重要となる。それをもとに、機器の運転管理を行って運用改善や設備導入を行い最適化していく。
・省エネ行動継続のためには、従業員が自主的に取り組めるようにすること、効果があったら認めること、みんなで取り組むことが大切であり、「ナッジ(nudge)」を取り入れることも有効である。
●まとめ
・サプライチェーン全体で脱炭素に取り組むことが要請される。
・省エネに取り組まないことは損になることであり、取り組むことで社会に、世界に貢献できる。
・エネルギーの運用改善は、エネルギーの「見える化」から始めて運用の見直しを行っていく。
・ちょっとした仕掛けや動機付けによって社員の省エネ行動を誘導し、事業所全体で省エネ文化を育てていくことが大切である。