アルミ溶解保持炉の燃料削減
アルミダイカスト製品を製造する工程は、アルミ溶解炉、保持炉、汲取り炉で構成されている。インゴットをガスで溶解し、汲取りまでに保持炉に一時溜められる。保持炉を一定の温度に保つためのガス量を削減できる余地があると考えた。
課題と解決策
アルミダイカスト製品を製造するための、アルミ熔解工程を図1に示す。
課題
1.汲取り炉の温度を維持するために保持炉のバーナーで加熱しているが、ガス使用量が多消費で削減したい。
2.保持炉での加熱によって発生する酸化物が炉壁に付着し、放熱の原因となっているため、熱効率が低下している。
解決策
1.汲取り炉に電気ヒータを設置して補熱し、保持炉側では、汲取り炉を必要温度に調整する程度の加熱に抑える。(図2)
対策後
1.汲取り炉を電気ヒータで加熱することによって、電気ヒータ分の電力量は増加したが、保持炉のガス使用量が期待通り削減できた。
2.保持炉の加熱温度が小さくなったことによって、酸化物の付着が激減し、保全作業工数が減った。
対策によるエネルギー削減評価
当対策だけの計測ができなかったため、事業所全体のエネルギー評価を行った。
1.対策前後1年間のエネルギー指標をグラフに示す。
2.対策前の期間は、2021年5月~2022年4月、対策後の評価期間は2023年5月~2024年4月である。
(工事期間:2022年12月~2023年1月)
3.事業所全体の削減率は原油換算値で10%、CO2排出量では約12%である。