食品製造業の省エネ診断と補助金の活用
今回の省エネ診断は食品の冷凍・冷蔵業、食肉販売業、乳類販売業の株式会社イバノです。本事業所は1991年7月に竣工し築33年が経過しています。最近の国内での冷凍食品の生産状況は増加傾向にあります。特にコロナ禍での巣ごもり需要(まとめ買い)や宅勤務時の昼食にお手軽で便利なことが、冷凍食品が好調な要因のひとつであるといわれています。これより冷凍・冷蔵設備の強化、拡充が重要になります。
今回、冷凍機が経年劣化により効率が低下し故障も生じているため、補助金を活用して高効率型冷凍機への更新ができないか、相談がありました。
本事業所では2階の事務所系統の空調方式はパッケージエアコン+ルームエアコンによる個別空調方式です。照明設備のLED化は概ね済んでいます。また、1階の食品工場では冷凍庫及び冷蔵庫の温度に対応して大型の冷凍機が複数台稼働しています。本事業所で使用しているエネルギーは電力(97.2%)、A重油(2.6%)、LPG(0.2%)です。これより電力消費量の削減が省エネのターゲットになります。特に冷凍機は24時間、365日稼働していますので電力消費量が大きくエネルギー多消費型の事業所になります。デマンドコントローラーを設置しているが設置年数が古く十分には機能していません。冷凍庫に使用している水冷式冷凍機は設置年数が古く経年劣化による効率の低下や故障も生じている。そのため補助金を活用して高効率型冷凍機への更新を提案しました。
補助金活用に関しては、適切なメーカーを選定して、現場把握を確実に行い、応募の準備をしました。具体的には、環境省の補助事業である「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」に応募し、採択されました。この事業で使用する冷凍機は地球環境にやさしい自然冷媒を使用した高効率の冷凍機です。現在は今年度中に取付工事を完了するための機器等の手配中です。
今回の省エネ診断では、以下のような項目を提案しました。
運用改善として
① 事務室系統冷房設定温度の緩和
② 事務室系統室内機フィルター清掃(室外機フィン洗浄含む)
③ 1階工場内のクーリングコイルフィルター清掃
④ 冷凍庫の設定温度の緩和
設備導入として
⑤ 冷凍機の高効率型への更新
⑥ デマンド監視装置の導入
⑦ 自動販売機の高効率型への更新
提案事項の実施における予想エネルギー削減量は302,471kWh/年
予想削減金額は7,611千円/年となりました。