製糖工場の省エネ診断について

西表糖業株式会社は1960年8月に設立し、2014年に生産設備の更新を行いました。 製造する製品は 「含蜜糖(黒糖) 」 です。 昨年から急激に電気量が上がったので、原因を調べてほしいと依頼があり、省エネ診断を受診することになりました。
工場の操業は毎年11月から翌年の4月まで行います。 残りの期間は生産設備の分解・清掃・補修等を行います。 本工場の特徴は濃縮工程での加熱で使用するボイラーの燃料はさとうきびの汁を搾った残りかすの 「バガス」 を使用していることです。 また、 沈殿させて取り除いた不純物は堆肥原料受入として畑に戻しています。 汚泥は排水処理設備で活性汚泥方式により処理して河川に放流しています。 黒糖工場はゴミを出さないエコな工場です。 能力は100㌧/日です。
本工場の空調設備はパッケージエアコンによる個別空調方式です。 空調機は順次高効率型に更新しています。照明設備のLED化は概ね済んでいます。 給湯設備、デマンド監視装置は設置していません。黒糖製造はHACCP対応で衛生管理を中心に行っており、工場のエネルギー管理体制は構築していません。

本工場で使用しているエネルギーはバガス、電力、A重油です。 バガスのCO2排出量はゼロで、A重油はバガス焚ボイラーの始動と燃焼調整用に使用しています。エネルギー管理に必要なグラフ化等の「見える化」等は実施していません。また、「管理標準」等の管理マニュアルを作成し生産設備の省エネ活動も実施していません。
本工場のエネルギー消費原単位は104kl/億円です。 食料品製造業のエネルギー消費原単位の全国平均は55kl/億円(出典:(一財) 省エネルギーセンター「工場の省エネルギーガイドブック2023」です。

今回は、工場に関する省エネ提案を下記の通り行いました。
運用改善として
①事務室系統冷房設定温度の緩和
②事務室系統室内機フィルター清掃(室外機フィン洗浄含む)
③バガス焚ボイラーA重油使用量の削減
④排水処理施設ブロアーの間欠運転
⑤付帯設備の不要時停止
設備導入として
⑥デマンド監視装置の導入
※ 本事業所様のエネルギー使用量は、346.81㎘/年です。
省エネ診断による予想エネルギー削減は、27.16㎘/年、
予想削減金額は、3,230,000円/年です。